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司法予備試験の科目と勉強のポイント

司法予備試験は「短答式試験」「論文式試験」「口述試験」の3つの試験があります。まず、1つ目の短答式試験に合格すると論文式試験を受験でき、さらに論文式試験に合格した場合には口述試験の受験が可能となります。こちらの記事では、それぞれの試験の概要についてまとめています。

司法予備試験の概要

令和6年の司法予備試験の概要は以下の通りです。

参照元:【pdf】法務省公式サイト/令和6年司法試験予備試験受験案内 https://www.moj.go.jp/content/001412854.pdf

短答式試験

まず、短答式試験について見ていきましょう。例年7月に行われる短答式試験の科目は、「民法」「商法」「民事訴訟法」「憲法」「行政法」「刑法」「刑事訴訟法」「一般教養科目」の8科目であり、マークシート式で判例知識や条文の知識について問われる試験となっています。また、短答式試験では試験の際に六法の参照はできません。

ここでは、それぞれの科目の概要について解説していきます。

民法

民法については、登場人物が多いことに加えて事案が複雑な事例が多いため、素早く問題を整理する、という点が鍵になってきます。問題を整理するのに時間がかかってしまうとその後の科目に時間が割けなくなってしまいますので注意が必要です。

また、こちらの科目では判例知識については憲法ほど重要ではなく、そこまで深い知識を求められることはありません。この点から、問題演習をしつつ重要判例の結論を覚えるように意識すると良いでしょう。

商法

商法は、細かい条文知識が問われる点が特徴です。ほとんどが会社法の分野からの出題となっており、商法総則や商行為法分野、手形・小切手分野からは例年2〜3問ほど出題されるケースが多くなっています。

このように、商法についてはメインの出題が会社法の分野となるため、試験対策を行う場合にはまずは会社法の条文知識について正確に理解するところから始めるのが大切であるといえます。そのほかの商法総則や商行為法分野、手形・小切手分野については、出題数の少なさなどから対策できていない受験生が多い傾向があります。この部分で点数を取れるようにしておくと、周りとの差をつけられるでしょう。

民事訴訟法

民事訴訟法の特徴は、「条文知識」「判例知識」「学説知識」の3つがまんべんなく問われる点です。このような特徴があるため、何か1つの分野に集中して対策を行うのではなく、3つの分野全体を幅広く学んでおくことがポイントになってきます。

憲法

憲法では、細かい判例知識を問う問題が出題される傾向があります。そのため、試験対策を行う上では判例の学習は必須といえるでしょう。また、短答式試験における憲法の特徴として、全ての選択肢における正誤を判断しないと正解を導けない問題が多い点が挙げられます。このように消去法が使用できないような形での出題がされますので、精度の高い知識が求められます。

行政法

行政に関わる幅広い分野から出題されるのが行政法の特徴です。例えば、行政手続法や行政事件訴訟法、行政不服審査法、情報公開法、国家賠償法などの分野について問われます。こちらの分野については、条例に関する知識よりも判例の知識を問う問題が多く出題される傾向がありますので、判例学習が重要になってきます。

また他の科目と比較すると、問題を解くために正確な判例知識が必要になる場面が多い点も特徴として挙げられます。

刑法

刑法の特徴は、具体的な事例から詳細な判例知識や学説についての知識を問われる点が挙げられます。他の科目と比べると、有力説や反対説といった学説の知識を問われるケースが多いことから、論文とはまた異なる角度からの学習が必要であるといえます。

刑事訴訟法

刑事訴訟法は、刑事事件の手続に関して幅広く出題される点が特徴です。捜査や証拠、公判手続きなどに関して出題されます。こちらの分野についても、民事訴訟法の分野と同様に「条文知識」「判例知識」「学説知識」についてそれぞれをくまなく学んでおくことがポイントとなるでしょう。

一般教養科目

一般教養科目については、文系科目(英語・古典・文学・論理学・日本史・世界史・地理など)から、理系科目(数学・物理・化学・生物・地学など)まで非常に広い分野から教養問題が出題されます。出題形式は選択式となっており、およそ50問の中から20問を選択して解答します。配点は60点となっており、他の法律科目より配点が高い点も特徴です。

一般教養科目は出題範囲の広さと難易度から対策が難しい分野です。そのため、合格者の中にはこちらの科目について対策を行っていない人もいます。試験の際には一度問題に目を通した上で解けそうな問題から解いていく、といった流れになるでしょう。

論文式試験

続いて、例年9月に実施される論文式試験についてご紹介します。論文式試験の試験科目は「憲法」「行政法」「民法」「商法」「民事訴訟法」「刑法」「刑事訴訟法」「民事実務基礎」「刑事実務基礎」「選択科目」の10科目となっています。

この試験では、配布される六法を参照しつつ、具体的な事例に対して論述形式で答案用紙に解答していく方式となっています。制限時間内に答案を書き上げるためのタイムマネジメント力も求められる点も、論文式試験の特徴といえるでしょう。

下記にて、それぞれの科目の概要についてまとめています。

憲法

憲法の問題は、ある法律や行為が憲法に適合するかどうかを問うような問題形式となっています。解答としては、自分の主張はもちろんですが、相手の主張や判例についても加味した形で解答を作成する必要がある点が特徴といえるでしょう。

こちらの科目については、「原告の主張」「想定される被告の反論」「自分の見解」という順で解答していくのが基本の答案の型となっています。この3者間からの検討が厳密に求められているわけではありませんが、事例分析にあたっては、当事者の主張の流れを意識することが重要なポイントといえます。そのため、普段学習を行う上でも多角的に学んでいく点を意識するのが大切となってきます。

行政法

行政法については、長文の事例問題が多いことに加え、現場思考型の問題が多い傾向があります。この点から、問題文の中に解答の方向性を示す誘導が仕掛けられている点が特徴といえます。

そのため、頻出の訴訟要件を覚えるのはもちろんですが、問題文中の誘導にうまく乗った上で、答案の中で問題文中の事実をうまく表現できるかどうかがポイントとなってくるでしょう。問題を多く解くことで現場思考型の問題に慣れておくことが対策になります。

民法

民法の論文式試験でも、短答式試験と同様に登場人物が多く、事案も複雑になる傾向があります。そのため、マーキングや図を書くなどして、素早く事案を整理できるように慣れておくことがポイントになってきます。

事案の整理を行い、「誰が誰に対して不満を持っているのか」「どのような権利が侵害されているのか」「どのような請求をしようとしているのか」などについて、素早く正確に把握することが大切です。

商法

商法では、会社法をメインとした出題が行われます。この場合、「いかに条文を使いこなすか」が重要となってきます。

会社法の特徴として、条文の量が膨大であり、さらにそれぞれの文章が長い上に、条文を引用する準用規定が多くある点が挙げられます。そのため、他の法律と比較すると条文が引きにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。

商法についての対策を行う場合には、普段から可能な限り自分の手で条文を引くことを心がけるのが重要です。

民事訴訟法

実務において最も重要な科目のひとつが民事訴訟法ですが、技術的・論理的であるために難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。訴訟手続きに関連する法律であることからイメージがしづらい面もあります。

そのため、こちらの科目についてはまず制度趣旨を理解した上で、原理原則を答案の中で示すことを意識していきましょう。

刑法

刑法の出題の傾向としては、かなり長く詳細な事例問題になっている点が挙げられます。そして、問題としては「甲及び乙の罪責について論じなさい」といった単純な形での出題形式となっているケースが多いといえます。

以上から、まずは長い事案の丁寧な分析が重要となってきます。その上で、具体的な事実から法的な論点を抽出することが求められます。普段の学習から可能な限り具体的な事案を意識することがポイントとなってくるといえるでしょう。

刑事訴訟法

刑事訴訟法は、民事訴訟法と同様に訴訟手続きに関する科目です。基本は、刑事手続きの適法性について問われる内容となっています。

それぞれの手続きの中では時間的な制約があるものが多いため、手続きの流れとともに時間軸も意識して解答することが重要です。どの段階の手続きの話なのかをしっかりと意識して、解答するようにしましょう。

民事実務基礎

民事実務基礎においては、「一定の法律効果が発生するために必要となる具体的事実」を意味する要件事実が一番重要です。民事裁判においては、要件事実の主要や立証が必須となります。この要件事実を答案上で示すことが民事実務科目では非常に重要になります。

刑事実務基礎

刑事実務基礎は、勾留・保釈・公判前整理手続などの刑事手続きや事実認定、証拠方法および証拠調べ手続などについて問われる科目となっています。この中でも特に、事実認定の分野が重要です。

刑法と同様に、長文の事例問題から論点を抽出して解答していく流れになりますが、事実認定については問題文に記載されている具体的な事実を抽出した上で、法的三段論法を使って答案を作成します。ここでは、刑事訴訟の分野と同じように手続きの流れを意識するのもポイントです。普段の勉強から実務を意識し、それぞれの場面において法曹三者がどういった訴訟行為を行っているのか、という観点を持つことも大切です。

選択科目

選択科目は令和4年から予備試験に加わった科目であり、「倒産法」「租税法」「経済法」「知的財産法」「労働法」「環境法」「国際関係法(公法系)」「国際関係法(私法)」の8科目の中から1科目を選んで解答を行います。

それぞれの科目によって重要となるポイントは変わってきますが、いずれも論理の流れを答案上でしっかりと示すことが重要となってきます。この選択科目も他の法律科目と同様に配点されていますので、対策を十分に行っておくことが大切です。

口述試験

例年1月に実施される口述試験の試験科目は、「民事実務基礎」と「刑事実務基礎」の2科目となっており、それぞれに関する問題について、面接で口頭のやり取りで出題される形になります。いずれの科目についても、口頭で解答となると頭が真っ白になってしまう場合があるかもしれませんので、予備校などで事前に口述模試を受けておくのがおすすめです。

それぞれの科目について下記でまとめていますので、参考にしてください。

民事実務基礎

口述試験のうち、民事実務基礎では、事例が記載されたパネルが机の上に置いてあり、その内容を見ながら受け答えをする、という流れとなることが多いとされています。要件事実について質問される傾向が多いといわれていることから、民法と民事訴訟法について理解しておくことが大切といえるでしょう。

刑事実務基礎

刑事実務基礎については、民事とは異なって事案を書いたパネルを用意されていることは基本的にありません。そのため、主査が読み上げる事例から事案の把握を行います。

一つの事例について、前半では刑法に関する実体法についての知識が問われ、後半では刑事手続についての知識を問うという流れが多い傾向があるとされています。

過去問を解くことで問題を解くための力を身につけられる

こちらの記事では、司法予備試験における「短答式試験」「論文式試験」「口述試験」という3つの試験について、それぞれの科目や試験内容について解説してきました。予備試験においては、限られた時間の中で考えをまとめ、それを伝わるように表現するための力も必要になります。その力は過去問を解いていく中で身につけられます。まずは過去問を解くことによって、読解力や論理的思考力、書くスピードなどを身につけていきましょう。

当サイトでは、司法試験や予備試験の受験を検討中の方に向けて、複数の予備校や通信講座を選びやすくまとめています。ぜひ、あなたにぴったりの学習環境を見つけて、合格への一歩を踏み出してください。

合格を掴むために選ぶべき"課題別"
司法試験予備校・通信講座

国家試験の中でも最難関と言われる
司法試験予備試験は、綿密に学習計画を立てて
学習を進めることが欠かせません。
しかし、長い道のりの中で不安は当然つきもの。
そこで当サイトでは、数ある予備校・通信講座を
「学習の質」「継続性」「苦手対策」の3つの課題別に紹介します。

学習の質
が不安と課題なら
合格者の10人に9人が受講(※1)
伊藤塾
公式サイトキャプチャ

引用元:伊藤塾公式HP
(https://www.itojuku.co.jp/index.html)

選ぶべき理由
01
入門講座は全員現役の弁護士が担当、実務家としての感覚を養える
02
豊富な実績から得られるノウハウを講座に還元、正解のない論文試験で結果に差がつく
03
カウンセリングや添削など、充実したサポート制度で安心して学習に専念できる
こんな人におすすめ
  • 初めて司法試験に向けた学習を始める
  • 確実に一発合格を目指したい
  • 今の勉強方法にモヤモヤしている

(※1)2022年予備試験ルートからの司法試験合格者の約92%が伊藤塾有料講座受講生

苦手対策
が不安と課題なら
130以上の講座から選択可(※3)
BEXA
公式サイトキャプチャ

引用元:BEXA公式HP
(https://bexa.jp/)

選ぶべき理由
01
130以上の司法試験対策動画から、弱点克服のための講座をピンポイントで選んで対策できる
02
50人以上の講師陣がそれぞれ得意とする分野でオンリーワンな講座を展開
03
講師・教材・学習スタイルなど、講座の選び方が多様で痒い所に手が届く
こんな人におすすめ
  • 効率よく学習を進めたい
  • 得意と苦手を把握している
  • 苦手分野に強い講師を見つけたい

(※3)2023 年8月1日調査時点で、133の単科講座を提供している

継続できるか
が不安と課題なら
9割を超える学習継続率(※2)
アガルートアカデミー
公式サイトキャプチャ

引用元:アガルートアカデミー公式HP
(https://www.agaroot.jp/shiho/)

選ぶべき理由
01
オーダーメイドでカリキュラム設計が可能なので、 自分に合ったペースで学習を進められる
02
熱量の高い講師陣の中から、相性ぴったりな一人を自分で選べる
03
合格に向けて個別スケジュールと進捗をマンツーマンで徹底管理・指導
こんな人におすすめ
  • 挫折することなく学習を進めたい
  • プロ講師にカリキュラムを相談したい
  • 自己管理に自信がない

(※2)※2021年度合格目標マネージメントオプションの利用者350名のうち、328名がサービス終了まで利用

【選定基準】
Google「司法試験予備校」検索結果で表示された(2023 年8 月1 日時点)、司法試験予備校 通信講座10 社の内、
(※1)伊藤塾:合格実績が最も豊富且つ明確(2022 年司法試験合格者全人数1403 名の内、1132 名が伊藤塾有料講座受講生・2022年予備試験ルートからの司法試験合格者の約92%が伊藤塾有料講座受講生)なため選定。
(※2)アガルート:個別指導学習における実績(継続率93%)を唯一開示している(※2021年度合格目標マネージメントオプションの利用者350名のうち、328名がサービス終了まで利用)ため選定
(※3)BEXA:単科講座の数が最も豊富(133講座。2023 年8月1日時点)だったため選定